新田より:

例によってちょっと長い手紙になっています。
もしあなたがこんなに長いのは読みたくない! こういう長い手紙は詐欺だ! と思わない限り、ゆっくりと先をお読みください。

少なくとも、ゲームデザインについての勉強になると思います。



Japanese game is dead.

すでに日本のゲームは世界に立ち遅れていると気づいている普通の感覚を持っているあなたへ:

 こんにちは、ゲームのしくみの新田です。

 この手紙の主旨を書きます。

 早い話、

 この手紙は日本のゲームを再び世界でナンバーワンにするために書きました。

 日本を再びナンバーワンゲーム大国する…ゲームによる熱狂で社会現象を起こす…。
 それが私の夢です。

 事実、それを現実にするべく日夜研究し、ゲームを作るという企業活動をしていますが、
今回、その研究成果のマニュアルを全12章に分けてまとめることにしました。

 本来これは会社内プランナーの秘密資料として、会社の資産として使う予定でしたが、
それではゲームのためにならないので、やる気のある人にだけ、
限定して一般頒布することにしました。
 まずは、第1章の配布です。

 細かいことはいいから早く見せてくれ、という場合は、以下をクリックしてください。

 日本をもう一度ゲーム大国にする?

 そんな大それたことをぶち上げて、と思うでしょうが、
本心、私はそう思っています。

 会う人に会う人に、日本のゲームをもっと面白くしたい、
そういうことを言っています。

 画一的なRPGばかりが出る現状。
 シリーズもののブランドに頼ってばかりのタイトル。
 アメリカ製タイトルの勢力拡大。
 WCGなどの世界的ゲーム大会コンテストが盛り上がらない日本。
 オリジナルのヒットゲームを作れないクリエイティビティ。
 ゲーム業界でなく、任天堂の業界と言われる物悲しさ。

 以前の隆盛と比べれば、「日本のゲームは死んだ」、そう思われても
しょうがない状況です。


 ゲームだけでなく、映画業界はハリウッドの一人勝ちで、
アニメ業界もジャパニメーションのヒットがなくて久しい。

 日本のエンタテインメントは死んだままなのか?

 いつぞやのゲーム会社のCMのようですが、ゲーム業界にいるものにとって、
もちろん、この現状に甘んじているわけにはいきません。

 停滞した日本のゲーム業界を、世界に輝く業界に戻したい。

 では、日本のゲーム業界を世界ナンバーワンにするには、どうすればいいのか?
 どういうビジョンで、日本のゲームをナンバーワンに持っていくのか?

日本のゲームが凋落した原因

 それにはまず、現状認識が必要です。

 今、日本のゲームはどうなっているのか?
 どうして世界市場で勝てないゲームばかりになっているのか?
 それを知っておくことが大事です。

 「自分は単に面白いゲームが作りたいだけで、そんなことは知ったことではない」
という人もいるかもしれません。

 が、面白い、という感覚を突き詰めるにあたって、今どういうゲームが
世界水準なのか、ということを知っておいて損ではありません。

 さらに、ゲームとて産業として、面白さを競っている状況が厳然たる事実として
あり、他のゲームとの比較で面白さが決まる面もあります。

 ですから、面白いゲームを作るには、自分が今どういうポジションで
ゲームを作ればいいのか、その戦略が必要です。


 そしてその上で、日本のゲームがどうして海外のゲームにおされ、
「ゲーム先進国」という地位を剥奪されてしまったのか、その原因を
知っておくことは、あなたの今後のゲーム作りにおいて、大きな意味を持ちます。

脳トレの功罪

では、日本のゲームがどうして没落していったのか。
 その原因を1つ1つ上げていってみます。

 これらの原因は、時代の流れや、海外を含めた各ゲーム会社の
マーケティング戦略の優劣によって現われてきたことですが、
この1つ1つが、今後のゲーム会社の戦略につながっていきます。

 現状把握と「敵」を知ること。
 これが変革を起こすための大きな要素になります。

 以下、あなたも思い当たるところがあると思いますので、じっくりお読みください。

■1・脳トレの功罪

 任天堂が打ち出した、ライトユーザー層にゲームを広めるという試みは
功を奏し、Wii、DSともに大成功しました。

 一般層を狙うというマーケティングは成功し、もの珍しさから新しい操作系の
ハードは売れに売れました。

 脳トレ、Wiiスポーツは売れに売れ、これらのブームは日本中に広がり、
任天堂は1兆円を超える利益を上げます。
 ゲーム業界の規模も、2004年までの衰退期を経て、2005年からは
大きくなっています。

 しかし、これらは果たして「ゲーム」だったのか?

 ゲームの表現する世界観の深み、感情移入の深さ、没入感、熱狂、
そういったゲームらしいものはすべて排除され、
「よりよい暇つぶし」としてのソフトウェアが展開されているだけの気もします。

 確かに、企業利益は得られ、ビジネスとしてのマーケティングは成功した。
 ゲームを一般層に広げることができた。
 「役に立つゲーム」という社会貢献も多かれ少なかれ果たしている。

 ブルーオーシャン戦略により新しいビジネスポジションを獲得し、
一人勝ちの市場を、任天堂は作り上げました。
 任天堂はマーケットリーダーとして再び君臨しました。

 しかし、ゲームを自ら「よりよい暇つぶし」というポジションに押し込めて
いないか?


 教育目的で言うなら、ゲームは映画のように、もっと人間の質的な向上に
つながる「絵」を見せられるものではないのか?
 ゲームの文化的な側面を矮小化していないか?


 ゲームは「生きていてよかった」と思える場面、社会現象を、
世の中に見せることができるものではないのか?


 そんな小さなところに収まっていいのか?

 そういう疑問を抱かずにはいられません。


■2・パチンコ、携帯ゲームの隆盛

 インターネットや携帯電話の普及で、スキマ時間の奪い合い競争が激しくなり、
ゲーム業界は2004年までに産業規模を半分にしています。

 そのあおり、ゲーム会社はその利益のよりどころを求めて、
パチンコ業界の仕事をするようになりました。

 あの液晶画面に出る演出は、ゲーム制作の技術と近いところにあります。

 パチンコ業界は儲かっているので、利益の幅も今までのゲーム制作の
下請けと比べると、当時は5倍以上もの報酬の差がありました。

 また携帯lコンテンツの成長期とゲーム業界の衰退期が重なり、
携帯ゲームに利益を求めていった時期もあります。

 企業も生き残りを賭けていますから、他の業界との関係をどうのと
いいたいわけではなく、環境的な要因で、ゲームの製作パワーは
分散していった経緯があるということです。


■3・ゲーム業界の市場ではなく、任天堂の市場

 ビジネスセンス的に、任天堂は新しいことに挑戦しつつも、きっちりと面白くして
出してくるところから、非常に「手堅い」印象があります。

 WiiやDSも、コンセプチュアルな一貫性を持って出されたハードで、
練りこまれたマーケティングを感じさせるプロダクトです。

 日本のゲーム企業で最も成熟しているのは任天堂でしょう。
 ゲーム制作における哲学と、明確な構造的方針を持っているのは、日本では
任天堂と数社しかありません。

 任天堂はパートナー企業を選別し、その恩恵を受ける会社を厳しく
制限していますから、まるで鎖国をしているようなものです。

ゆえに、日本のゲーム業界は磐石な任天堂の市場と、その他のゲームの業界、
という勢力図ができてしまっています。


 これは任天堂が悪いとかそういうレベルの話ではなく、任天堂が
独自の哲学を持っているので、他が競合になっていないという話です。

 だから、ゲーム業界は赤字でも、任天堂は増益という、住み分けの
構造が生まれているわけです。
 任天堂は、あくまで独自の市場にだけ、恩恵をもたらしているのです。


■4・世界を視野に入れていない

 インターネットが普及し、MMOやMOのネットゲーム、
ネット配信のゲームが現われ、コンシューマ機でも、ネットでの通信は当たり前に
なりました。

 ゲーム市場はすでに世界を舞台にしているわけです。

 しかし、日本は英語圏への対応が遅れ、日本国内のみの売上で、
満足しているのが現状です。

 英語は、母語として約3億8000万人、第二言語として約6億人いるわけです。
 合わせておよそ10億人です。
 日本の約9倍の市場規模があるわけですから、売上も単純に
9倍になる可能性があるわけです。

 それだけの売上があれば、次に作るゲームへの投資額も相当なものになります。

 アメリカ発のゲームの多くは、そうして多額の利益を得て投入する開発費を
倍々に増やしてきたわけで、ゲームの規模拡大は自然ななりゆきなのです。

 全世界同時発売、というイベントは、さらに言語の垣根を越えて
企業の利益を増大させます。

 日本も、世界で勝負できるゲームを作ることです。
 英語圏への対応はすでに標準にすべきです。
 そうしなければ、世界と勝負していくことはできません。


■5・日本の風土的な問題

 これは先の世界を視野に入れる、ということに関係してくる話です。

 日本人が好むゲームは、まったりと進行する、情緒的感性を持った
RPG、というのが今までの定説です。

 なので、海外がバリバリのFPSが主流なのに対し、
日本ではコツコツとストーリーをなぞって進んでいくRPGが主流です。

 これはさかのぼれば農耕民族と狩猟民族の違い、と言うこともできますが、
リアルテイストの文化と、キャラクター文化の違いとも言うことができます。

 いろいろな要素が絡むので、一概になぜ主流のゲームが違うのかを
言うことはできませんが、これは言うことができます。

 ゲームに垣根はありません。

 実際、AOEシリーズやカウンターストライク、ディアブロIIなど、
全世界同時発売のゲームで日本でもちゃんとヒットしているゲームがありますから、
根本的な面白さを実現できれば、日本で受けて、世界共通で受けるゲームを
日本人でも作ることができるはずです。

 いずれにしろ、産業の規模をこれまで以上伸ばすには、積極的に世界に
撃って出る必要があります。

 輸出部門を拡大せずとも、現在はネットによる配信もできるわけですから、
ゲーム配信、ブラウザゲーム、ネットゲーム等々、手段はたくさんあります。

自分が本当に作りたいゲームを
作ろうとしているあなたへ

 私は日本のゲーム業界を愛していますが、ある部分では苦々しく思う部分があります。

 それはゲームを自由に発想できなくなってしまった、というところです。
 これについては、知人をはじめ、ゲーム業界の有名人、ゲーム業界でがんばってきた功労者から、よく聞かれる言葉です。

 私はこれまで12年以上ゲーム業界で過ごしましたが、メインプログラマをこなし、
メイン企画をしながらゲームデザインの研究をしてきました。

 その間、中規模なゲームを数本、いくつか大きなゲームの製作に数本携わり、
関わったゲームの販売本数は日米合わせると200万本を超えました。

 これはそんなにたいした数字ではありません。
 私よりも有名なタイトルに関わっているゲーム業界人は大勢いるので、
逆に少ない部類だと思います。
 それでも、まあ300万本とは、けっこうゲームに関わったんだなと思います。

 …しかし、そんなことは重要ではないのです。

ゲームを作ることに何の意味がある?

 それだけゲームを世に送り出したからって、なんの意味があるのか?

 ただただゲームを作る…そこに私は意味を感じません。

ゲーム業界はその流れから、自分が本当にデザインしたいゲームを
作ることが困難になりました。

 重厚長大で大企業しか作れないゲームは、そのゲームが背負っている責任から、
失敗は許されません。
 だから、お約束や売れ線を狙った内容で、ある意味「安心感」を持ったもので
なければいけなくなっています。
 そこに新しいものへの挑戦はありません。

 大規模なゲームほど、商業的な色合いがかなり濃い種類のゲームになります。
 マーケティング・データが生み出すゲームになってしまうのは、宿命です。

 反対に、カジュアルゲームと呼ばれる、2週間で作れるほど手軽で、
一般人に受けるように単純な内容に作るゲーム群があります。
 しかしそこには魅力ある世界観や、ゲームの奥深さはありません。

 これがゲームなのか…? と、思ってしまうほど、ゲームの魅力は失われ、
単純化された「暇つぶし」になり下がっている。
 そう思うゲームすらあります。

 実際私が作りたかったのは、新しく、しかし面白さはしっかりとしていて、
魅力的な世界観があり、操作したくなるキャラクタが暴れまわる世界でした。

 ゲームの年齢制限とか、そういう規則はくそくらえです。
 そんなのを気にしてゲームを作るほど、社会に迎合するつもりもありません。

 自分が本当に作りたいものを作ることに、こだわりたい。
 これは、ゲームを作る人ならば、誰しも夢見ることです。


 私は、人生は一度だけなのだから、それを夢で終わらせるわけには
絶対にいかないと、行動することを決めました。

 そこで、私は自分で稼いたお金でゲーム会社を作ることに決め、
会社を設立するに至りました。

 そして今、ゲーム開発で重要なのは企画です。
 企画がだめだと、すべてがだめになります。
 なぜなら…。

陥りがちなゲームデザインの罠

 私がこれまで業界を渡り歩いて見て来た経験から言うと、
ゲーム企画においてありがちな「致命的な間違い」があります。

 それは、ゲームデザインを「論理」で説明しようとすることです。
 論理でどんなゲームなのかを語っても、スタッフはちっとも面白いと思っては
くれません。

 どんなに考え抜かれた高度な論理であろうが、心理学やマーケティングデータを
使っても、プレゼンの相手は「ふ〜ん」という顔をしたまま。

 あなたが情熱家であれば、その熱ににおされて、同情から
「なるほど、じゃあ企画を作ってみてくれないか」
と言ってもらえるかもしれませんが、納得はしていないのです。

 納得する、これは大事なことです。

 ひとつのゲームを作る上で、同じ方向に向かうために、どうしてこのゲームは
面白くなるのか、なにを目指して自分はこのゲームに関わっていけばいいのか、
それがわからなければ、スタッフのパワーを合わせて、相乗効果のある
開発をすることはできません。

 じゃあ、どうすれば、ゲームの面白さを明確にわかってもらえるのか?
 どうすれば、自分のゲームが面白くなるのか、わかってもらえるのか?

 それには、論理でなく、別のものに焦点を合わせる必要があります。

ゲームデザインがうまくできない理由…

 しかし、この「面白さを伝える」ということの以前に、あなたは

「自分のゲームが本当に面白くなるのか、わからない」

 という状態になってはいないでしょうか?
 多くの人は、ゲームデザインがうまくできないどころか、「面白さ」という
ものがなんなのか、その定義すらできていない。

 これはゲームデザイン以前の問題です。

 「自分のゲームは面白くなる」。
 この言葉が言えることほど、ゲームデザイナーにとって、すごいことはありません。

 なぜなら、少なくとも「確実に面白いゲームを作るための焦点」をつかんでいる
ことに他ならないからです。


 その焦点に向かってゲームを作れば、開発中に、着実にゲームが面白い
方向に向かっていると、手ごたえをつかむことが出来ます。

 ゲーム開発は終了までにいろいろな要因がありますから、
企画段階だけで、発売したものが面白くなると100%の保証はできませんが、
企画がだめなら全部がだめになるわけです。

 だから、最初に方向性として「こう作れば明確に面白くなる」という
焦点を持って始めることは、ゲーム開発全体を成功させるために、
必要不可欠なのです。

 ここが曖昧なままのゲーム開発は、この「成功の焦点」がブレているので、
ただ規模的な大風呂敷を広げたり、空回りの情熱で動いていたりして、
「バクチ」をしているのと似ています。

 「自分のゲームは面白くなる」。
 では、どうしたら、あなたはこの言葉を言えるようになるのか。

 それにはやはり、論理ではなく、別のものに焦点を合わせる必要があります。

ゲームを学術的に考えるだけでは
趣味の領域

 私がこれまでゲームに関わり、面白さを求めてきて思うのは、
ゲームは学術的な論理の中にあるものとは、かなり違うということです。
 特に、作り方は。

 どういうことかというと、これはエンタテインメント全般に言えることなのですが、
「面白いかどうか」という問題は、学術ジャンルで言うと、心理学に近い答えが
あります。
 心理学は、

 「こうすれば、人はこう動く」

 という内容を扱っているからです。

 ただ、心理学は実験データからの記述が多いので、抽象度が高く、
これをゲームデザインに応用するには、もっと現実に即した形で

「こうすれば、人はこう面白がる」

という形に落とし込む必要があるのです。

よって、エンタテインメントは学術分野から扱うよりも、
現実の中で人に起こる「現象」の中に、「面白くするための」ヒントがあります。

 今ある分野でいうなら、私も大きな影響を受けているのですが、
現実に人を動かすために鍛え上げられた「マーケティング」が、
より参考になる分野です。

 現実に使われている技術ですから、非常にパワフルです。

 マーケティングは、いかにお客に興味を持ってもらうか、
いかに人を動かすか、ということに特化した分野で、
広告、イベント、販促計画など、世の中のさまざまなヒットに結びついた
「しかけ」は、すべてマーケティングによって計画されています。


 現在、ゲームで学問をしようという流れがありますが、
私は学問するだけでは、ほとんど意味がないと思います。

 ただ学問するだけでは、世の中になにも影響を与えないという意味では、
趣味の領域と同じです。

 「面白いゲーム」を研究するのであれば、その面白さを作る方法を
実践し、役立てなければ意味がない。

 学問をしたなら、実際にゲームを作らなくては。
 そして、それを世の中に放り込み、検証する必要がある。

 それによって、研究が実証されれば、研究の意味が生まれる。
 さらに、「面白さ」が研究によって明確になれば、ゲームは世界を
さらに興奮させることができるわけです。

 ゆえに、マーケティングもエンタテインメントも、論理ではありません。
 ある焦点の実践が必要なのです。

 ではなぜ、ゲーム研究の成果が、まだまだ世の中で実践されて
いないのか?

欲しいのは「ゲームの作り方」ではなく、
「ヒットゲームの作り方」である

 それは明らかに、ゲームというものの歴史が浅いからです。

 「物語」についての研究は非常に進んでおり、ハリウッド映画の方法論は
三幕構成、ミッドポイントなど、用語が確立するまでになっています。

 物語は生まれて2000年以上経ちます。
 だからこそ、あらゆる側面からの研究がされ、面白さの作り方も確立して
きているのです。

 しかしゲームは、たかだか30年ほどの歴史です。
 そして、ゲームは企画が現実のものとして完成するまでの時間がかなり長い。

 つまり、企画 → 製作 → 評価 → 企画…という、洗練を繰り返す
過程が非常に時間のかかるサイクルになっているのです。

 ゲームはハードの進化により、表現力は日進月歩で革新が行われました。

 しかし、上記の理由により、ゲームは「内容」において、まだまだ洗練が
足りない状態にあります。

 では、ゲームが物語のように2000年の洗練を繰り返してきたら?

 ゲームのしくみでは物語の方法論も研究し、その方法をゲームに
取り入れる工夫も始めています。

 海外のゲームデザイン手法ももちろん積極的に情報を集め、
取り入れています。
 (ただ海外も「パーツ」としての概念でデザインをしているに過ぎず、まだまだな
印象です。それでも日本全体のゲームデザイン事情から比べると、けっこう
進んでいますが)。

 繰り返しますが、まだまだゲーム開発の世界では、ゲームデザインの
ノウハウが洗練されていません。

 やっと、「ゲームプログラムの組み方」の段階を超えて、
基礎的な「ゲームの作り方」が広まりつつある段階です。

 しかし、あなたはもうありきたりの方法論には興味がないのではないですか?

 ウェブでちょっと探せば見つかるような一般論、転々と存在する
感想、意見、「ゲームはこう作ればいいんじゃないか」的な散文には
あきあきしているから、あなたはこの手紙を読んでいるはずです。

 そこで。
 ゲームのしくみでは、初めから「ヒットゲームの作り方」を考え、提供してきましたが、
ここにきて、ゲームデザインスキルの総ざらいをします。

ヒットゲームデザインの基礎の基礎

 ゲームのしくみでは、「エモーショナル・ゲームデザイン」「セコンド・メソッド」として、
ゲームデザインの方法論を確立しました。

 こうしたノウハウを広く伝えるべく、ゲームのしくみでは研究結果、実践結果、
私の経験を特別レポートとして公開してきましたが、今回、さらに詳細に
ゲームデザインの技術を伝えるべく、「習熟マニュアル」を作ることにしました。

 今回提供するマニュアルは、全12章で、面白いゲームのプランニング方法から、
ゲームコンセプトの立て方、ゲームデザインスキルの網羅、
そして新しいゲームを作るときの応用の仕方を、すべてまとめた内容になります。

 内容は、全部で以下のようになる予定です。

■基礎編 すべての前提
■第1章 ゲームの目的はなにか?
■第2章 コンセプトの立て方
■第3章 題材の決め方
■第4章 期間を守るプロジェクトにするために
■第5章 テスト・マーケティング
■第6章 クオリティの上げ方

■応用編 ゲームをヒットさせるための方法論
■第1章 エモーショナル・ゲームデザイン
■第2章 エモーショナル・レイヤード・ゲームデザイン
■第3章 ゲームシステムを構成する4+1要素
■第4章 バランスの取り方
■第5章 ゲームを面白くするTIPS
■第6章 ゲームデザイン・心理学TIPS


 全12章です。
 当社に就職するプランナー向けに、「どう企画の内容を煮詰めたらいいのか」
「どう企画を考えたらいいのか」というような、初歩的な段階も踏まえて
書くように心がけています。

 日本は、欧米と比べると、「情報をまとめるのが不得意」です。
 なぜなら、日本は阿吽の呼吸など「察する文化」があり、言わなくても
わかりなさい、知りたいなら自分で盗みなさい、マネは恥(もちろんコピーは恥です)、
という社会通念が暗黙のうちにあるからです。

 「察する」を英語に訳すとどういうか知っていますか?
 「telepathy」(テレパシー)と訳すんです。
 超能力なんです。

 欧米はその文化がないので、とにかく文書にまとめて人に伝える文化が
育ちました。
 だから、英語圏にはゲームデザインのみならず、さまざまな分野で
濃密な情報が公開されています。
 情報としてのノウハウ販売も当たり前に行われています。

 そんな中、この全12章の「ゲームデザインマニュアル」は、
「まとめられた情報」として、日本では珍しい部類に入ると思います。

 ウェブで調べてみてください、ゲームのこんな情報を公開しているのは、
ゲームのしくみだけですから。

 本来、こういったマニュアルは企業内秘密文書として公開されないのが常で、
私も会社経営という視点から判断すると、この情報の公開は
「十八番を公開するばか者」と言われてもしょうがないことだと思います。

 しかし、私は日本のゲーム文化の底上げを心底望んでいます。
 だから、あえて公開することにしました。

 ゲーム文化だけではありません。
 ゲームも映画も小説も、エンタテインメントのお株はほぼアメリカに
取られました。
 アニメや漫画が、独自文化としてがんばっているくらいです。

 私はこんな状況の中、かつてのすばらしいゲームを発信していた日本の
復興を望んでやまないのです。

大規模ゲームばかりでは、
業界は死ぬ

 某グラフィックス系の専門学校の講師の方が言っていました。

 「今の学生は、どんなゲームを作りたい? と聞くと、FFのようなゲームとか、
壮大な物語を作りたいとか言う。

 僕らがゲームデザインというと、ルールを考えたり、面白さとは
どういうものかを考え、それを実際に作ってみるという、ゲームというものの
根本からの試行錯誤を言っていたはずだが、今はもうそうでは
なくなってきている」

 私はこの現象に危惧を感じます。

 もちろん、創造は、始めは模倣から入ります。
 しかしあまりにも模倣するものの規模が大きいと、その根底にある
「面白さの原則」をつかむことが困難になります。

 もっと小さな「しくみ」で、その面白さを実現できる、ということがわからなくなる。

 なぜなら、ゲームはなぜ面白いのか、という枠組みを、
考える幅の狭い、既存のシステムの上でしか考えなくなるからです。

 また、ゲームの上で面白いシナリオだけ考えられればいい…この考えも、
「ゲームそのもの」の発展を阻害する考えです。

 すでにあるなんらかのシステムの上で表現することができればそれでいい…。
 これでは、新しいものが生まれようがありません。

 新しいものが生まれないということは、シーズ(種)が生まれないということです。
 ここまでゲーム業界が発展したのは、新しいジャンルのシーズになる
ような、キラーソフトが考案されたからにほかなりません。

 定期的な新機軸のキラーソフトがあったからこそ、それをやりたさに
ハードが買われ、業界が盛り上がり、産業としての発展があったわけです。

 ゲームを根本から考え、新しい面白さを生もうとしなければ
ゲーム業界は衰退するのみ。
 これは間違いありません。

ゲームデザインの基本を知れば、
新しくしかも面白いゲームを
考えることができる

 だからこそ、私はここで、「ゲームデザインの根本」を提供しようと思うのです。
 根本原理を押さえれば、そこから上にある概念は、まるでドミノが倒れるように、
流れるように理解できるようになります。

 この、「ゲームデザインの根本」を知ることで、あなたはどう変わるのか?
 それを挙げてみますと、

どういうふうにゲームを考えればいいのか?…ゲームをキャラクタから考えたり、ルールから考えているようでは、時間がいくらあっても面白いゲームを作ることはできません。ゲームを考えるポイントというものがあるのです。

ゲーム企画書はどのように書けばいいのか?…ゲームはなぜ面白いのか…本来それがわからずにゲーム企画書を書くことはナンセンスです。それで面白い企画書が書けるとしたら、別のテクニックが優れているだけです。

ゲームルールをどうやって構築すればいいのか?…まず、ルールから考えようとしている時点で問題があります。ゲームはそこから考えてもラチがあきません。ゲームをするのは人間だ、ということから、ルールの作り方があるのです。

どういうゲームが、プレイヤーを惹きつけ、ゲームを買いくたさせるのか?…ゲームは実際プレイするまで、面白さを味わえないからこそ買われるのです。では、見られただけで面白さを伝えるには?

プレゼンテーションのとき、どうすれば面白さが伝わるのか?…ゲームを論理やデータで説明しようとしても、スタッフにポカンとされるだけ…面白さが伝わるポイントがあるのです。

キャラクタの考え方、ゲームフィールドの考え方、ルール、それぞれの関係の考え方とは?…これらをバラバラに考えていたのでは、一生面白いものは作れません。

グラフィック、音楽、ゲームシステムの関係とは?…これらのトータルで、ゲームはなにを作ればいいのか。たった1つの、大事なものを作るのです。

ゲームの流れをどのように作ればいいか?…ゲームに盛り込むものは、1つ1つで完結する要素ではないのです。「流れ」をどう作るかが、ゲームの面白さの85%を決めます。

感情を揺さぶるとはどういうことか?…ゲームは感情を動かすのを目的にしたソフトウェアですが、では「揺さぶる」とはどういう状態を作ることを言うのか? それを説明します。

感情を揺さぶるためには具体的にどうしたらいいのか?…プレイヤーに大声を上げさせたり、「もう一度!」と言わせるにはコツがあるのです。

ゲームを激しくエスカレートさせるための、数少ない方法とは?…単に難易度を上げればいいと思っているとしたら、引き出しが少なすぎます。

面白いと自分で感じられないのに、ゲームを作っている状態とは?…作っている最中に面白くないのはナンセンス。面白いゲームを作るためのフォーカスがわかれば、作りながらワクワクすることができます。

プレイヤーの感情をトレースするとは?…ゲームは本質的には、ルールやシステム、グラフィックや音楽を作る作業ではないのです。感情を追うことが本質なのです。その意味をシェアします。

セックス&スピード&バイオレンスの要素とはなにか?…刺激的なゲームを作るためにははずせない、「本音の要素」がこれらですが、問題にならないようにこれらを使うにはどうするのか? その方法。

プレイヤーをゲームにハマらせる方法…ハマる状況には実はパターンがあるのです。あなたはそのしくみを数種のパーツとしてゲームに盛り込むだけ。

人間が最も衝撃を受ける感情とは?…ゲームで伝えられる感情はたくさんありますが、気持ちが高ぶり、ヒットにつながる種類は3つだけです。

ゲームを最も面白くするためのこれ以上ない考え方…ゲームをスタートのシーンからから考えるのは、つまらないゲームを作ってしまうセオリーです。ゲームを面白くするには、スタートではなく、最も大事なところから作る必要があります。

感情のギャップ理論とは?…感じる感情を2倍以上にする方法。

ゲームを続けてしまう、あるしかけとは?…ゲームをやめられなくなってしまう、禁断の構造というものがあります。


実践的な内容にしてあります

 私は、まわりくどい解説は嫌いなので、ストレートにどうすればゲームが
面白くなるのか、すぐに使える形で説明しています。

 つまり、このマニュアルに書いてあることは、今すぐにあなたのゲームデザインに
取り入れ、使うことができるということです。


 また、このゲームデザインマニュアルのコンセプトは、

「面白いゲームを作るためのセオリーをシェアすること」

です。
 単なるゲームの作り方とか、ゲームの考え方ではありません。
 アマチュアが考えるような、単にこうすればゲームが組みあがる、という
ものではありません。
 組みあがるだけでは意味がありません。

 作るゲームが面白くなければならない、という使命を持って、書かれています。

 そして、プロとして面白いゲームを連作できなければならない、
という信念があります。


 このマニュアルは、ひとつの「流派」だと思ってください。

 ゲームが面白くなるパターンをつかみ、まずゲームが面白くすることが
できるようになってから、オリジナリティを入れ込んでいく…そういう
「守破離」の道を辿ることを意識して欲しいと思います。

 まずはノウハウを守り習得し、そしてそれを少しずつ破って
自分なりのものにしていき、いずれはノウハウから離れる…
そういう順序を経て、あなた独自のゲームを作ってもらえればと思います。

まずは、全12章の、ことはじめの1章

 「ゲームデザインマニュアル」は全12章ですが、1章ずつ製作、提供していきます。
 まずは第1章の提供から開始します。

 すべての章が揃ってからとも考えたのですが、人に時間はそんなに用意されている
わけではありません。
 習熟や理解の時間も考慮して、1章ずつ配布することにしました。

 第1章は、「ゲームデザインの基礎」の解説です。
 目次は以下のようになっております。

■1−1.ゲームの目的とは?
●ゲーム開発がなにを目指すべきかを明確にする
●退屈よりもクソゲーがましな理由
●感情の種類と、人間が最も衝撃を受ける感情
●感情のギャップ理論
●あざとくセックス&スピード&バイオレンス(SSV)を使う

■1−2.ゲームで感情を動かすには「感情を動かす状況」を実現する
■プレイヤーの感情を揺さぶるために
●ゲームを冒頭のプレイ部分から考えてはいけない
●人が最も感情を動かされる状況
●状況の要素
●あなたの「記憶」が最大のヒント
●ハマる状況の作り出し方
●プレイヤーに強制的に課題を与えるゲーム
●「やるべきこと」が明確なゲーム

■1−3.その状況を実現するための流れを明確にする
●「感情を揺さぶる状況」に至るまでには流れがある
●あなたの記憶の中にある「流れ」
●その状況でどんな感情が生まれるか…感情をトレースする
●物語構築法からゲームシステムをヒントにする
●感情はステップのある状況によってエスカレートしていく
●エスカレートの本質


 では、価格の話です。

 と、ここで構えてしまった人は、もしかしたらまだこのマニュアルを買うには
早いのかもしれません。

 価格が気になるということは、まだゲームデザインという分野の研究に
対して、本気で取り組むステージにはいないということかもしれないからです。

 ゲームデザイン研究はアメリカでは活発に行われていますが、日本ではまだまだ
数少ない研究です。
 アメリカからゲームデザインの書籍を取り寄せると、安くても8000円、
高いと数万円はするというジャンルです。

 例えば、ヤフーゲームズでヒットするゲームを提供できたとすると、
月に2000円のゲームが1万本以上ダウンロードされます。
 ロイヤリティが30%だとしても、600万円になる計算です。

 またコンシューマでゲームをヒットさせられれば、企業レベルで考えれば、
売上で数億、数十億という結果が返ってくることは常識です。

 そのためのノウハウを入手するということは、本来ノウハウ自体が企業秘密ですから、
ありえないことです。

 今回、日本のゲーム業界を盛り立てるためにこのマニュアルを提供するという
ことの意義を考え、価格は以下のように設定しました。

 第1章の価格は、5,250円(税込)です。

 これを安いと考えるか高いと考えるかはあなた次第です。
 正直、馬鹿な価格設定だと思っています。

守秘義務を守ってください

 このマニュアルを買っていただく前に、守っていただきたいことが、1つあります。

 それは、このゲームデザインマニュアルで公開されている内容を、
他の人に絶対に漏らさない、ということです。

 マニュアルの最初のページにも書いていますが、契約事項が書いてあります。
 それを、守ってください。

 あなたがデザインするゲームで、このマニュアルで明かされているスキルを
盛り込むのは一向に構いません。
 しかし、そのおおもととなるこのマニュアルは、ほかの人には見せないでください。
 それだけ重要な内容が、マニュアルには盛り込まれているからです。

 また、以下に当てはまる人は、このマニュアルを買ってもお金の無駄に
なるだけなので、買われないほうがよいと思います。


●面白いゲームを努力なく作りたいと思っている人
 ゲームは試行錯誤で作るものです。
 このマニュアルは、それを効率的にするもの。
 楽に面白いゲームが作れるとは思わないでください。

●批判精神だけで買おうとしている人
 ゲームを作らないのに、批判目的だったり、ひやかしで買っても、
あなたのためになりませんので、おやめください。
 実践する人に、一番恩恵のあるマニュアルです。

 …あなたはこれに当てはまりませんね?
 では、以下のボタンをクリックして、「ゲームデザインマニュアル」を
あなたの手元にお取り寄せください。


エモーショナル・ゲームデザイン
マニュアル 第1章




お支払いはクレジットカード、銀行振込、コンビニ決済に対応しています。

送信されるデータはSSL技術により暗号化されますので、
あなたの個人情報が漏洩することはありません。ご安心ください。
また私はあなたの個人情報を第三者に転売、譲渡などを絶対にせず、
あなたのプライバシーを守ることをここに誓います。


JCBカードでご購入の場合は、為替レートの
変動により価格が変動しますので、ご注意ください。


追伸

 このマニュアルは、購入者の利益を守るために、一定期間を過ぎると
公開を停止する予定です。
 ご了承ください。

 また、応用編からは、基本編を購入した場合だけに販売するかもしれません。

 次に来たときにこの手紙がなかったとしても、申し訳ないのですが、
質問等はお控えください。

追伸2

 一章ずつ販売していく予定ですが、まとめて販売する予定もあります。
 その場合は、先行して購入していただいた人のために価格を
高めに設定する予定です。
 ご了承ください。

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