BACK

▽▼───────────────────────────────▽▼
 ハマるしかけを作る! 8年目ゲームクリエイター・ムーブメント研究!
 第57回 「コスティキャンのゲーム論・解説(12)」 2005/05/23(mon)
△▲──────────────────── http://www.n2gdl.net/▲△

 ゲームのしくみの新田です。

 いやー、XBOX360、PS3、レボリューション、またまた次世代ゲー
ム機のシェア争奪戦が始まりますね。

 4年おき? のお祭りですね。


 個人的にXBOXとPS3には「ああ、またそう来たのね」という感想だっ
たんですが、レボリューションは「え? その形は?」と思いました。

 最初、これは誰かが作ったコラージュでしょ? と思ってました(笑)。


 任天堂が「低学年ポップ」路線から大人の香りに…。まあゲームの中身は多
分路線変更はしないのでしょうが、なにか新しい方向性を感じましたね。


───────────────────────────────────
■コスティキャンのゲーム論・解説(12)
───────────────────────────────────

●情報

 コンピュータゲームにおける情報とは、広義に言えば以下を指します。


・画面上で確認できる視覚情報

・音声情報

・触覚情報(振動コントローラによる)


 狭義には「数値化されている」もしくは「名詞化されている」「シンボル化
されている」情報のことを指します。


・画面上の数値パラメータ

・画面上の文字情報

・画面上のアイコン

・画面上のメーター

・キャラクタのオブジェクト(オブジェクト=物体)

・アイテムのオブジェクト

・等々…


 ゲームを作る際は、これらの情報がいかにプレイヤーのプレイをスムーズに
進ませるか考えます。


 また情報画面、情報ウィンドウを開く操作があるゲームの場合は、いかに情
報にスムーズにアクセスできるかを考えます。


 さてコスティキャンは、こういった情報をプレイヤーに与えるときに気をつ
けなければいけない事項を4つ挙げています。



●1・プレイに影響するような重要な情報はプレイヤーに必ず与えること

 例えば、戦争シミュレーションゲームにおいて、「天候」という要素がある
とします。

 しかしそれが説明書に書かれていなければ、プレイヤーはその天候がどうプ
レイに影響するかわかりませんから、「この天気の変化って、ゲームの演出?」
と思ってしまうかもしれません。


 また、説明書に天候の説明があっても、「今どんな天気なのか?」が画面上
で確認できないなら、プレイヤーはその天候をプレイの意志決定に使うことは
できません。


 そして説明書に天候の説明があって、画面上で今どんな天気か? が確認で
きたとしても、それが戦車の移動を遅らせるのか、戦闘機の戦力をプラスする
のかなど、「天候が実際にどう影響するのか?」が分からなければ、プレイヤー
はなんとなく意志決定をすることになり、その情報の意味は曖昧になります。


 ゲームプレイにおいて重要な情報は、「隠すことによって面白い効果がある」
場合でない限り、明確に数値情報・文字情報として、意志決定の際に材料にで
きるようにしましょう。



「重要な情報はちゃんとプレーヤーに教えるべきだ。そして、プレーヤーは、
微妙な意志決定を行う際に、充分な情報を与えられているべきである」



●2・情報は全て見せればいいものではない

 さてでは、「隠すことによって面白い効果がある」とはどういう場合でしょ
う?

 コスティキャンは「情報を隠すことがとてもうまく働く場合もある」といい
つつ、明確には述べていませんが、「推測」がカギになる場合が多いようです。


 つまり、「読み」ですね。


 例えば、マージャン。


 マージャンは相手の手牌が見えないゲームです。

 もしそれが見えていたら、「相手は次にどれで上がるのか?」が分かってし
まうわけですから、ツモ上がりでしか上がれないゲームになってしまいます。


 マージャンは、誰が先に上がるか? を巡って、相手の上がり牌を、捨て牌
や点数、そして相手の顔色を見ながら推測し、すり抜けつつ上がりを目指すか
ら、緊張感が走るわけです。


 「隠されているから」、その読み合いが発生するんですね。

 「隠されているから」、面白いわけです。


 さてマージャンにおける「推測」ですが、牌の種類が限定されているところ
に、「推測」の余地が出てきます。


 牌は144個と有限で、1種類につき4つしかありません。

 なのでいろいろな推測が可能になります。



 自分の上がり牌がどのくらいの確率で出てくるか?

 相手の上がり牌がどのくらいの確率で出てくるか?

 自分の揃えようとしている役は実現可能なのか?

 どんな役で上がりに向かえばいいか? などなど…。



 この推測ができるので、マージャンは単純な確率ゲームではなくなり、絶妙
な読み合いの面白さが出ているんですね。


●3・処理できる情報量にしておくこと

 画面上でプレイヤーに提示する情報は、適切な量にしておく必要があります。

 例えばRPGで、プレイヤーキャラの持つパラメータが100個もあり、そ
れが1つ1つ戦闘に影響するとしたら?


 とても1つ1つを見ているわけにはいきませんよね?


 それはプレイを進めるのに効率的ではないので(プレイヤーはプレイをサク
サクと進めたいんです)、おそらく最も影響しそうなパラメータ数個だけを見
て、ゲームを進めることになるはずです。


 この時点でそれ以外のパラメータは、ゲーム上で「無駄」ということと同じ
になってしまいます。

(というより、そんなパラメータ量のゲームは買わないと思いますが(笑))


 処理しきれない量のパラメータは無駄ですし、その無駄を作る側にとっても、
計り知れない作業の無駄が発生します。


 画面上にある情報は意味のある情報に絞り、まとめてプレイヤーに提示する
ようにしましょう。


 基本的に、意志決定に使う情報は少ないほうが、プレイヤーとってストレス
になりません。


 ただし、それが面白いかどうかは別です。

 プレイヤーの情報処理量ギリギリに近づくことが「面白い葛藤」を呼ぶ場合
もあります。


●4・目標に関する情報(ヒント)を必ず置いておくこと

 理不尽な情報は、プレイヤーに不必要な葛藤を与えることになります。


 私がゲームで「詐欺!」と思った最初は、ドラクエ1の「太陽の石」でした。


 今でこそ「あそこにあるんだよね〜」と言えますが、当時は全然場所がわか
らず、全然関係ないところに「太陽の石」探しの旅に出たり、城内のタイルを
一箇所一箇所調べたりしたものです(笑)。しまいには壁を1つ1つ押してまし
た(笑)。


 当時一緒にプレイしていた友達も、「ないよ〜ないよ〜(涙)」と一緒になっ
て探していました。


 もちろんはっきりとある場所を書け! というわけではありませんが、せめ
て無駄足をせずとも探し出せるヒントが欲しかった…。

(そういえば、ドラクエ3にも「こんなところに隠れてたのか!」というNP
Cがいた覚えが。誰でしたっけ?)


 確かに見落としていたのは私です。

 しかしゲームの本筋とは関係ない部分でだったらちょっと意地悪な謎解きが
あってもいいと思いますが、本筋で必要なアイテムが何かが推測できなかった
り、強引な謎解きがあったりするのは、やめて欲しいものです。


  →ゲームを分析するときには、「プレーヤーに意志決定させるために
   どんな情報が必要とされるか。プレーヤーに適切な情報が適切なときに
   与えられるようになっているか。プレーヤーが考えれば必要な情報が何
   でありどうすれば手に入るか推測できるようになっているか」という点
   を考えなければならない。

(続く)

コスティキャンのゲーム論はこちら。
http://www.n2gdl.net/topics/topic004/main.html


「なるほど」「よかった」の一言でもかまわないので、メルマガの感想文を書
いて送ってください。
あなたの一言が私の励みになり、よいメルマガを書こうという意欲になります。
ぜひあなたの声を聞かせてください!

 ↓ここからどうぞ↓
 http://www.n2gdl.net/reviewform/reviewform.html

───────────────────────────────────
■編集後記
───────────────────────────────────

 いやー、なかなかアップせずにいるんですが、感想の声がたくさん来ており
ます!

 ほんと、感謝感激です! 
 私の活動はみなさんの声に支えられています!

 近々アップします!

 もうだいぶ返答が遅くなったかもしれませんが、ここでも紹介します!


 ということでまた次回!

───────────────────────────────────
■お客さまの喜びの声!
───────────────────────────────────

 ゲームのしくみの特別レポートがどんなふうに現場で役に立っているか?

 そういう感想をくれる方もいますね。
 ありがとうございます!

http://www.n2gdl.net/voice/vioce.htm

───────────────────────────────────
■ゲームのしくみ セットパッケージ情報
───────────────────────────────────

 デベロッパーズセットを購入したシゲルさんより。

>印象に残ったのはズバリ全てです。どれもクオリティーが高く最高でした。


 現役のゲーム開発会社やゲーム専門学校にも買って頂いております!


 本屋には置いていない、サイトでだけ売っている情報です。
 「高密度の気づきがある!」と好評です。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist

●ゲームデザイナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論

●プランナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−

●デベロッパーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−
・プログラムの達人1〜3セット

 興味のある方は、以下のURLよりどうぞ。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist


それぞれ単品でも購入できます。
詳しくはサイトにて。

http://www.n2gdl.net/

───────────────────────────────────
■これをヒントにゲームを作れ!! お薦め書籍
───────────────────────────────────

 ゲーム開発で役に立つ本を紹介しています。
 以下のURLからどうぞ。

http://www.n2gdl.net/topics/topic003/index.html

───────────────────────────────────
■バックナンバー
───────────────────────────────────
 バックナンバーはこちらで見ることができます。

http://www.n2gdl.net/magazine/index.html

───────────────────────────────────
■このメルマガについて
───────────────────────────────────

 新しく登録して頂いた方、はじめまして。
 既に何度も読まれている方、ありがとうございます。感謝です!

 ゲームのしくみの新田です。

 このメルマガはゲーム業界8年目の私が、

・これからゲーム業界に入ろうとしているあなた
・ゲーム業界に入ってまだ日が浅いあなた
・人をハマらせるもの作りに興味のあるあなた

に向けて、情報発信することを目的として発行しています。

 また、ムーブメントつながりでビジネスモデル構築やマーケティング理論、
心理学、NLPなどにも非常に興味がありますので、これらの「人をハマらせ
る」技術も、あわせて発信していきたいと思います。

 どうぞ宜しくお願いします!


 みなさんと一緒に紙面を作りたいと考えています。
 ご質問ご意見はお気軽に。

 フォームから送れます。「感想」「意見」などをタイトルにしてどうぞ。
 http://www.n2gdl.net/reviewform/reviewform.html

内容について:

・くどいくらいに同じ話が出てくることがありますが、それはそれだけ私が大
事だと思っている話です。「あ、また出た。重要なのか」と思ってください。
 回数が多い話ほど、重要視しています。


・「当然だ」「それは知ってる」と思うこともあると思います。しかし大事な
のはどう実践に活かすか? ということです。


 このメルマガでは、あなたの「気づき」と「実践」が一番の財産になります!

───────────────────────────────────
★★★★★★★★★ 相互広告・相互紹介大募集中 ★★★★★★★★★★★

 新創刊メルマガや部数に関係なく相互広告希望の方は下記のお問い合わせま
でご連絡ください。
 多くの皆様のお問い合わせお待ちしております。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●お問い合わせ・感想はinfo@n2gdl.netまで

■発行・編集:ゲームのしくみ研究委員会
■COPYRIGHT (C) 2003 STUDIO N2LAB.
SOLE PROPRIETORSHIP. ALL RIGHT RESERVED.

■URL:http://www.n2gdl.net

このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.n2gdl.net
 (今まで読んでくださってありがとうございました!)

■無断転載は禁止いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

BACK


COPYRIGHT (C) 2003 STUDIO N2LAB. SOLE PROPRIETORSHIP. ALL RIGHT RESERVED.
webmaster info@n2gdl.net