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 ハマるしかけを作る! 8年目ゲームクリエイター・ムーブメント研究!
 第59回 「コスティキャンのゲーム論・解説(14)」 2005/06/06(mon)
△▲──────────────────── http://www.n2gdl.net/▲△

 ゲームのしくみの新田です。


 「個人でゲームを作りながら暮らす方法」(仮)は、今週中に製本作業をし
て、なんとか早めに出したい! と思っています。


 内容は200ページを越えるボリュームとなりました。


 説明ページも作らなければいけないし、いやー、今週はやることがたくさん
あります。

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■コスティキャンのゲーム論・解説(14)
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●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:雰囲気


 ボードゲーム「モノポリー」は何か具体的なものをシミュレートしているゲー
ムではなく、単純に不動産産業の「世界観」を上乗せしたゲームです。


 単純にゲームとしてだけ見れば、非常に抽象的なゲームです。


 だから、ボードの絵柄やコマの形などを変え、SFものの雰囲気を持たせた
ゲームに仕立て上げることもできるわけですね。


 しかし、「モノポリー」は、不動産産業の世界観、雰囲気を持っているから、
その「独特の魅力」を発揮していると言えます。


(SFの世界観でも魅力は出たかもしれませんが、SFもののボードゲームは
多数あるので、独特さを出すにはひと工夫必要だったでしょうね)


 このような、ゲームの世界観や設定を作り「雰囲気」を醸し出すことは、プ
レイヤーをゲームにのめりこませるための重要な要素です。


 私も面白いゲームの3要素のうちの1つと考えています。


▼特集「面白いゲームの3要素!」
http://www.n2gdl.net/topics/topic002/002_03.htm


 たまに「ゲームはキャラクタがただの英数記号でも面白いものがいいんだ!」
という意見を見ることがあります。


 それは確かにそう思うのですが、しかし明らかに雰囲気づくりをしたほうが、
ゲームは盛り上がります。


 ゲームは人の各感覚器官を刺激する複合的なメディアですから、より複合的に
刺激できたほうが、よりいいわけです。


 さて、人はゲームの内容だけでなく、そのゲームが持つ「雰囲気」でゲームを
買ってしまうことが多々ありますよね?


 例えば私なんかは、黒いサングラスをかけて銃を持った人間が、ジャケット
をひるがえしながら犯人とチェイスを繰り広げる…なんてハードボイルドな雰
囲気のゲームや映画を見ると、「おっ!」と感情を動かされます。


 それから、雄たけびをあげて相手に突進していく勇猛な剣士が、火花を散ら
して剣をぶつけ合い、お互い寸前のところで相手の攻撃をよけ、傷を作りなが
ら死闘を繰り返す…みたいなハードなファンタジーの雰囲気も大好きです。



 私の中に、そういう雰囲気を察知すると入る「スイッチ」があるんですすね。



 ゲームは、実際の世界を忠実にシミュレートすればいいというものではあり
ません。


 そのゲームが醸し出す雰囲気が、ゲームの面白さと相乗効果を生み出し、プ
レイヤーの感情を大きく揺さぶれば、それでいいんです。



 「プレイヤーの感情を大きく動かす!」こと。

 それが実現できれば、ゲームの役割はほぼ終えます。



 ただこの「雰囲気」を出すことは、なかなか手間隙のかかる作業です。



 単純に見た目だけをそれっぽいものにしただけではだめです。
 ゲームの世界観を構築し、「雰囲気」を効果的に出すには、


・視覚

・聴覚

・触覚


 それぞれの面から、統一的なアプローチをする必要があります。


 重厚なファンタジーの雰囲気を出すなら、重さを感じさせる寒色系の黒っぽ
いデザインにして、陰影ははっきりさせ、音は極力生音に近い音にし、鉄など、
重さを感じさせる音の比率を上げます(どれも、微妙なさじ加減がありますが)。


 触覚的にも、操作を扱いづらい鎧のように慣性をつけるようにすれば、「重
い操作感」になります(もちろん、ユーザビリティとの兼ね合いを考慮する必
要があります)。


 これがSFならどうでしょう?

 時代劇では?

 ホラーでは?


 どの世界観でも、「雰囲気」を作り出すための視覚・聴覚・触覚的なアプロー
チが思い浮かびますよね?

 ホラーだったら、ベチャっとした触覚感があったりしそうですよね?


 それから、ハードな雰囲気か、ソフトな雰囲気か?

 殺伐とした雰囲気か、ほんわか・のほほんな雰囲気か?


 出したい雰囲気によって、視覚・聴覚・触覚のチャンネル(分野)が思い浮
かびますよね?


 それを意識すれば、見た目だけでない、プレイヤーが感じる全感覚において、
「雰囲気」を構築することができます。


●伝統的な世界観の持つ「雰囲気」


 伝統的な世界観とは、例えば、SF、ファンタジー、戦争もの、サスペンス、
などなど、昔から受け継がれてきた世界観をいいます。


 こういった世界観は、ある特徴的な「雰囲気」を持っていて、それから反れ
るほど、ファンの心理を掴み損ねてしまう傾向があるようです。


 コスティキャンはこれを、ウォーゲームの世界観が持つ伝統的な「雰囲気」
を「アクシス&アライズ」というボードゲームを例にとって示唆しています。


−−−−−−−−

 「アクシス&アライズ」が最初にNovaから販売されたときには、ゲームとし
ては後からMilton Bradleyから再販されたものと実質的に何の違いもなかった。

 しかし、このオリジナルバージョンは、神をも恐れぬケバい下品なマップと、
今まで私が見たなかでも最悪のカウンター(コマ)を、どうしようもなくダサ
い箱に詰めて売っていたのだ。私はそれを一目見て、すぐにわきにどけてしま
った。以来、このバージョンを見たことは一度もない。

 それなのに、Milton Bradley版は、その小さなプラスチックのコマを使って
何度も何度も遊んだものだ。同じゲームなのに、この違いが生ずる理由はただ
1つ、すなわち雰囲気なのだ。

−−−−−−−−


 あなたもこのように、世界観と雰囲気で、ゲームを買うか買わないかを決め
てしまったことがあるはずですよね?


 伝統的な世界観を扱うときは、その世界観が持つ特徴を捉え、それが織り成
す「雰囲気」を壊さないことです。


 しかし、これは感覚的なものでもあり、各個人によって捉える要素がさまざ
まにフィルタリング(選別)されます。


 最低限の基本は押さえたら、あとは個人のセンスだと考えたほうがいいでしょ
う。


 例えば私なら、それぞれの世界観のジャンルに以下のような「ルール」を盛
り込むのが好きです。



・戦争ものなら、ストイックさ(禁欲的さ)や無情感を前面に出す

・SFなら、科学法則や自然法則が持つ無慈悲で冷徹な側面を保つ

・ファンタジーなら、その世界が持つ伝統や虚構の自然法則によって、世界が
保たれているという部分をあくまで論理的に見せる

・ハードボイルドなら、主人公の抱える虚無感、激情、哀愁を前面に出す



(けっこうハードな世界観が好きなのがバレバレですね)


 チームでオリジナルのゲームを作る場合は、こういったことをあらかじめ
メンバーに伝えておくと、その後の進行が楽になりますよ。


  →ゲームを分析するときには、「このゲームは、雰囲気を盛り上げ、
   背景世界を魅力的にするためにどんな工夫がほどこされているか。これ
   をより雰囲気たっぷりにするには、どこをどう改善すればよいか」とい
   うことを考えなければならない。

(続く)

コスティキャンのゲーム論はこちら。
http://www.n2gdl.net/topics/topic004/main.html


「なるほど」「よかった」の一言でもかまわないので、メルマガの感想文を書
いて送ってください。
あなたの一言が私の励みになり、よいメルマガを書こうという意欲になります。
ぜひあなたの声を聞かせてください!

 ↓ここからどうぞ↓
 http://www.n2gdl.net/reviewform/reviewform.html

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■編集後記
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 最近月曜は、朝、明るくなる様子をいつも見ている気がします。


 というのも、このメルマガを書いて朝になってるからですね(笑)。

(もっと早い時間から書けよ!)


 いやー最近、いろいろやることが多くて楽しいんですよ!


 ということでまた次回!

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■お客さまの喜びの声!
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OYAJI さん

どのレポートも大変参考にさせていただいておりますが、
特にためになったのが「宮本茂論」です。
現在のゲームからだんだん薄れてきてしまっていた、
「単純なのに面白い」要素が分かりやすく説明され、
目からうろこです。
次回のレポートも是非購入したいと思っております。


hasegawa さん

こんにちは、はじめまして。
ゲーム企画書の書き方 -基礎編- を購入させていただきました。
内容はというと、非常に役に立つものばかりでとてもタメになりました!
わかりやすかったのも好印象です。
このレポートを読むまでは、「(ゲーム)企画書」には難しい印象しか無かっ
たのですが、読み終えて、
『目からウロコがぼろぼろ落ちました!』
あまりに感動したので、メモ帳にポイントを書き写し、電車の中などでいつも
にらめっこしています。(笑
さて、基礎編があるということは、当然応用編を出すのですよね?
(とプレッシャーをかけてみる)
いやいや、冗談はともかくとして・・・
メルマガや他のコンテンツもとても楽しみにしています!
頑張ってください!!


小倉 さん

○印象に残ったレポート名
「ゲームプログラマの哲学」
「シンプル・プログラミング・スタイル」

○感想
 どちらもプログラムに関連する技術そのものではなく、
作業する上での考え方について書かれているのが逆に新鮮で、
他の書籍やWebサイトでは、なかなか得られない情報が
レポート化されていると感じました。
 何となく意識している事が、文章として書かれていることで、
より明確に認識することができました。
 「ゲームプログラマの哲学」では、プロ意識や仕事の質といった
仕事としてプログラムを行う上で、絶対に意識してくる事について
指摘してあり、プログラマとしての心構えを再認識させられました。

 「シンプル・プログラミング・スタイル」では、
いかに効率よく作業をしていくか、という点を、
達人プログラム環境の紹介を通して知ることができ、
非常に参考になりました。
 『nami2000』など、実際のツールを紹介しているのも、
実用的でした。

 また、“理想的なプログラムの考え方”で紹介されている理想は、
プログラマとしては、痛いほど分かっているのですが、
いつのまにか逸脱していることに、レポートを読んで改めて
実感し、その後のプログラミングでは、
“理想的なプログラムの考え方”の理想に沿うことを
強く意識するようになりました。


ハンニャ さん

「ゲーム企画書の描き方・基礎編」を購入しました。
僕は何から書いていいやらさっぱりな状態だったのですが
企画書を読む人へ印象づけることが重要だとわかりました。
これを読みながら考えをまとめていくと、自然と書きたくなります。


コミネト さん

Game Desing Tips 48を購入させていただきました。

以前に宮本茂論を購入させていただき、とても面白かったので、こちらも購入
させていただきました。
アマチュア製作者なのですが、疲れた時に読むなどして、気合に変えています。

私は特にインタラクティブ性というものに興味がありして、そのことに関する
いくつかの重要な事を指摘されていたので非常に勉強になりました。
インタラクティブ作ろうの章で、音声、視覚、触覚、これらを複合的にレスポ
ンスすることで、プレーヤーは感覚的な面白さを感じるとありますが、私もこ
れに非常に共感しまして、感覚のシンクロ感が人間の快感のスイッチではない
かと思っています、音楽にシンクロして画面が動き、文字が表示されることに
とても心地よさを感じますし、ゲームはこれに、こちらからの働きかけに対し
てのシンクロ感を提供できるという意味で優れたメディアだと思います。

それらの人間の欲望や快感などを収集分類すれば創作のヒントになるのではな
いかと考えていたのですが、やはりなかなか難しかったのですが、このGame De
sing Tips 48で沢山の指摘がされており大変参考になりました、購入してよかっ
たです。

▼ほかにもたくさんの方々から感想をいただいています!
(ありがとうありがとう!!)
http://www.n2gdl.net/voice/vioce.htm

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■ゲームのしくみ セットパッケージ情報
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 デベロッパーズセットを購入したシゲルさんより。

>印象に残ったのはズバリ全てです。どれもクオリティーが高く最高でした。


 現役のゲーム開発会社やゲーム専門学校にも買って頂いております!


 本屋には置いていない、サイトでだけ売っている情報です。
 「高密度の気づきがある!」と好評です。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist

●ゲームデザイナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論

●プランナーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−

●デベロッパーズセット
・Gamedesign tips48
・宮本茂論
・ゲーム仕様書の書き方−基礎編−
・ゲーム企画書の書き方−基礎編−
・プログラムの達人1〜3セット

 興味のある方は、以下のURLよりどうぞ。

http://www.n2gdl.net/bookshop/gametips48/gametips48.htm#setlist


それぞれ単品でも購入できます。
詳しくはサイトにて。

http://www.n2gdl.net/

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■これをヒントにゲームを作れ!! お薦め書籍
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 ゲーム開発で役に立つ本を紹介しています。
 以下のURLからどうぞ。

http://www.n2gdl.net/topics/topic003/index.html

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■バックナンバー
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 バックナンバーはこちらで見ることができます。

http://www.n2gdl.net/magazine/index.html

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■このメルマガについて
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 新しく登録して頂いた方、はじめまして。
 既に何度も読まれている方、ありがとうございます。感謝です!

 ゲームのしくみの新田です。

 このメルマガはゲーム業界8年目の私が、

・これからゲーム業界に入ろうとしているあなた
・ゲーム業界に入ってまだ日が浅いあなた
・人をハマらせるもの作りに興味のあるあなた

に向けて、情報発信することを目的として発行しています。

 また、ムーブメントつながりでビジネスモデル構築やマーケティング理論、
心理学、NLPなどにも非常に興味がありますので、これらの「人をハマらせ
る」技術も、あわせて発信していきたいと思います。

 どうぞ宜しくお願いします!


 みなさんと一緒に紙面を作りたいと考えています。
 ご質問ご意見はお気軽に。

 フォームから送れます。「感想」「意見」などをタイトルにしてどうぞ。
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・くどいくらいに同じ話が出てくることがありますが、それはそれだけ私が大
事だと思っている話です。「あ、また出た。重要なのか」と思ってください。
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のはどう実践に活かすか? ということです。


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