■コスティキャンのゲーム論

●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:
多彩な展開



 多彩な展開に関係して、「麻雀」について少し。


 「麻雀」はポピュラーなゲームの中でトップの人気があるゲームです。


 私がゲームセンターでアルバイトしていた頃、麻雀ゲームは脱衣でなくとも
一定の売上を上げていましたし、コンシューマのゲームソフトでも麻雀は「隠
れたキラーコンテンツ」です。


 麻雀ゲームの開発技術を持っているだけで食べている会社もあります。

 私の知り合いの社長は、携帯で4人打ち麻雀を実現して、一旗上げました。


 また、麻雀はそれ専門の雑誌がいくつも出ています。ひとつのジャンルでこ
れだけメディア攻勢があるものは他にはありません。


 そして駅前にいけば雀荘が必ずと言っていいほどあります。
 麻雀ほど愛好家がおり、歴史を持っているゲームはほかにあるでしょうか?


 これほど普及し、国民の中に溶け込んでいるゲームは他にはありませんよね?



 私はそこに目をつけました。
 こりゃあすげえと。これほど好かれるゲームとはいったい?
 「麻雀」を分析すれば、普遍的な人気のあるゲームが作れるのではないか?


 なぜ「麻雀」はこれほどまでに愛好されているのか?


 その秘密が、今回の「多彩な展開」あるわけです。


●運だけで勝つことはトータルでは難しい

 コスティキャンは、経験と頭脳と実力で勝っている人が必ず勝つゲームが良
いゲームである…とはいいません。


 なぜか?


 それは運の要素があっても、優れた戦略を取っていれば高い確率で
勝利できる
からです。


 ゲームにおける運の要素、つまり「ランダム性」は、完全なランダムではな
く、ある範囲内でランダムな「揺らぎ」を作り出すだけです。


 何度もそのランダムを繰り返しているうち、確率の基本法則によってランダ
ムの平均値はある一定数に収束していきます。


 ですから運の要素は勝敗に「揺らぎ」を生み出すけれど、トータルでは
より優れた戦略をとったほうが必ず勝利を手にすることになります。



 「運の要素」だけで戦略的なミスを挽回するのは無理なんですね。


 ではゲームにおいてランダム要素は重要な意味をもたらさないのか? とい
うとそうではないんです。


 ランダム要素はゲームに「多彩な展開」を生み出すという大きな役割を持つ
んです。


●多彩な展開

 何度プレイしても同じ展開になってしまうゲームは、一度しか遊べません。
(よほど好きでない限り、一度しか遊ぶ気にならない)


 アドベンチャーゲームなどはそうですね。
 また、RPGもよほどのことが無い限り、二度遊ぼうとは思いません。


 こういったゲームは軸に「物語」があり、その展開が一直線ですので仕方な
くこういうことになってしまいます。


 この一度しかプレイできない側面を持つゲームは、それをカバーするために
内容量のボリューム増加によって、クリアまでのプレイ時間の引き伸ばしが図
られているんですね。
(それによって顧客満足を図ろうというわけです)


 しかし、ゲームはこの手の「物語」を軸にしたものばかりでなく、多彩な展
開を意識的にしろ、無意識的にしろ、計画しているゲームがあります。



 それがシミュレーションゲームであったり、カードゲーム、オセロ、チェス、
囲碁、そして麻雀だったりするわけですね。


 これらのゲームは、ゲームが取りうる局面の数が極めて多く展開し、多彩に
なるような、「新鮮さを感じさせる」しくみ、ギミックが施されています。


 そのしくみが精巧で奥深いものであるほど、プレイヤーはそのゲームにのめ
り込み、何度も何度も遊び、研究し、何年もかけて楽しむことができるわけで
す。



 つまり、普遍的なゲームになりうる! ということなんですね。



 そしてそのトリガーが「ランダム要素」というわけです。



 ではどういう風にゲームを奥深くし、いつ遊んでも楽しめるようにするかと
いうと…。


 実は私はこの分野について非常に興味を持っており、もう10年以上考えて
いるので、書き出したらとてもこのメルマガでは収まりきりません。


(ゲーム業界はこの手のリジジュアル・インカムを生む種類のゲームを作るべ
きだ! とまで思っております。これはインディ・デベロッパーに向けて発信
する予定です)


 ですので、ここでは簡略化して、コスティキャンが示唆するゲームと合わせ
て「多彩な展開」を持つゲームを見ていきましょう。


▼麻雀

 トランプなどもそうなんですが、ランダムに配られてくるトークン(カード
や牌)の「組み合わせ」で「勝敗の程度」を設定したゲームデザインは、奥深
いゲームを作るための「鍵」です。


 組み合わせの難易度、欲しいトークンが出る確率、対戦時におけるその読み
合いなど、掛け算的に織り込まれたルールが、ゲームの奥深さを作り出します。


▼マジック・ザ・ギャザリング

 マジックはカードゲームです。何代にも渡ってカードの種類が更新され、未
だに「ゲーム会場」が用意され、愛好者のトーナメントリーグが行なわれてい
る、非常に息の長いゲームです。


 特筆すべきところは山ほどあるのですが、強いて言うなら


・「ルールが場に追加(アタッチ)される」ゲームシステム

・ゲームが進行すると数値的な「劇的な上がり」が表れてくること


 そして最後に

 カードの購入自体がゲームの確率的なゲーム性に影響しているという、ビジ
ネスモデルを含有したゲームデザインになっているところでしょう。


 これは書いているだけでもちょっと興奮する内容です。

 ビジネスモデルを含んだゲームデザイン、超重要です。


▼風来のシレン(ローグ)

 このメルマガの読者に「シレンジャー」はいますか?(笑)
 私も「シレンジャー」です(最近ご無沙汰ですが…)。


 マップを「自動生成」することにより、プログラムのコストを押さえ、その
ぶんゲームバランスの調整に時間をかけられるゲーム設計。

 後戻りがきかないことへの緊張。

 ランダムなアイテムの配置による先の読めない展開が、プレイをさらなる緊
張の世界へと導きます。



 ほかにも「サイバリオン」「ティル・ナ・ノーグ」「ディアブロ」「スター
クラフト」など、普遍的な要素を持っているゲームはたくさんあり、これらを
解説したい欲求にかられますが、紙面の都合もあるのでまたの機会にしたいと
思います。



  →ゲームを分析するときは、「このゲームでは、どのような展開が
   生ずるか。それらはプレーヤーが何度も試してみたくなるほど多彩で
   あるか。その多彩さを生み出す仕掛けは何か。展開をもっと多彩にする
   にはどうすればよいか」という点を考えなければならない。

(続く)

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