■特集:「超初心者のための」ゲーム開発 |
■ゲーム作りの障害になっているもの(3) 「作れない理由」。 1・プログラムが組めない(組む気にならない) 2・理想とするゲームの規模が大きい 3・クオリティが出せない 今回はゲームの規模について考えます。 ●2・理想とするゲームの規模が大きい ゲーム開発をしていて強烈に身につまされるのは、 「ゲーム開発は企画規模の策定を計り違えることでデスマーチに陥る」 ということです。 過去に、開発が延びに延びて、1年間休みなしで働いたときがありました。 「開発が遅れた場合、ペナルティとして1日×万円の遅延金を払う」という契約だったため、スタッフは徹夜の毎日。 クライアントからはクオリティを上げるための指示が毎日20項目ほどファックスされてくるので、完成度は遅々として上がりません。私は諸所の事情でサブ企画からいつのまにか仕切り役になり、クライアントと規模縮小の交渉に明け暮れました。 結局その開発はデスマーチのすえ、無理矢理完成に漕ぎつけました。 今思うと、ゲームの規模策定の時に、 1・与えられた期間(開発費) 2・揃っていたスタッフの数 3・スタッフのスキル 4・会社が持つゲーム開発ノウハウの蓄積量 これがまったく計算に入ってなかったのです。 中小のゲーム会社は企画規模策定の失敗で潰れることがあります。 開発が延びれば、延びた分の開発費はクライアントから支払われないので、タダ働きすることになります。 その分会社は赤字を増やすわけですが、その圧迫のせいで関係会社や社員など、支払うべきところにお金が支払われなくなれば開発ができなくなり、潰れます。 開発するゲームの規模策定は、慎重に行われなくてはなりません。 現実と理想のあいの子として、ゲームは作られるのです。 個人でなにかを作ろうとする場合も同じで、自分の力量に合った規模にしなければ失敗します。 これを読んでいる学生の方には「自分は時間があるから規模は気にしないで作れる」と思う方がいるかもしれませんが、逆に、時間があるということはいつ作ってもいい、ということでもあり、そうなるとなかなか手をつけないのが人間です。 自分によほどの信念と根気があると自負するのでもない限り、計画性を持ってやらないとゲームは完成しないでしょう。 往々にして、ゲームの規模はいろいろな要素を盛り込もうとして大きくなりがちです。 「これはお約束だから」「これくらいは必要」と言っているうちに、「あれもこれも」になり、膨らんでしまうのです。 規模にまつわる話として、「ドラクエ」の開発秘話があります。 「ドラクエ」は海外のRPGをプレイしていた堀井雄二氏が「これは面白い。日本にも伝えねば」といういきさつで作ったゲームです。 1986年当時、海外のPC用RPGはすでにパーティプレイが主流で、広大なマップに数多くのモンスターが出現していました。 「ドラクエ」はファミコン初のRPGとして開発がスタートしましたが、最初からパーティプレイを実現するのは、開発期間や開発ノウハウの問題で、無理だと判断されました。いきなり複雑なシステムではユーザーがついてこれない、という判断もあったようです。 しかし、段階的な構想はすでにあり、2でパーティプレイを実現し、3で転職を実現しようということは決まっていたようです。 シリーズを通してゲーム内容を拡張し、規模を拡大させていく開発方法ならば、過去のノウハウの蓄積があるので開発はスムーズです。 いきなり大規模なものを作るのではなく、段階的な構想を持ち、徐々にそれを実現していくのが確実で賢い方法です。 どんなに凄いものを作った人達でも、始めは小さなものから作り始めたのです。 そして徐々に技術とコツをつかみ、大きなものに挑戦していった。 最初は、小規模なものを目指しましょう。 大事なのは、小さなものでもいいから「作り上げる」ことです。 ボロでもいいので、試作品を作り上げる。 そうすれば自信がついてきます。 現在「ドラクエ」規模のゲームならば、ちょっとプログラムを覚えれば割と簡単に作れるのではないでしょうか。 次回は「3・クオリティが出せない」の解決です。 2003/04/04up |
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