■コスティキャンのゲーム論

●ゲームトークン

 ゲームトークンとは、主人公のキャラクタであり、RTS(Real Time Stra-
tegy)やSLG(simulation game)であれば操作できる個々の個性豊かなユニッ
トのことをいいます。

 つまり、直接プレイヤーが操作できる「モノ」を指します。



 「じゃあ、アドベンチャーゲームでのゲームトークンは?」



 はい。私もこれは少し考えましたが、一人称視点のゲームは、ゲームトーク
ンが画面上にはありません。


 つまり、プレイヤー自身がゲームトークンであると言えます。


 通常、ゲームはすべて神の視点です。


 画面内にゲームトークンがあれば、神であるプレイヤーが、神の分身である
ゲームトークンを動かすことになります。


 しかし画面内に操作すべきゲームトークンがなく、一人称視点で操作をする
のであれば、プレイヤーは神そのものということになります。


 「シムシティ」、「ザ・タワー」は一人称視点なので、神というゲームトー
クンの代わりをあなたがするわけですね。



 さてコスティキャンは、「ゲームトークン」とは「資源」を管理するための
手段である、と言います。




 例えば「エイジ・オブ・エンパイア」(以下AOE)等のRTSでは明確で
す。

 AOEでの「資源」は4つあり、材木、石、肉、金です。


 これら「資源」を、ゲームトークンである村人に指示を与え、採取させるわ
けですね。


 そしてその「資源」を使って新しい兵士などのゲームトークンを生み出し敵
と戦わせる…。


 こういうふうに「ゲームトークン」を使って「資源」を管理して、ゲームを
進めていくわけです。

(それぞれのユニットが持っているパラメータは、管理すべき資源の一部と言
えます)



 さて、ゲームトークンはゲーム上、ひっじょ〜〜〜〜に! 重要です。


 それはなぜか?


 いえ、言うまでもないですが、ゲームトークンがないということはゲーム内
の「資源」を管理する「手段」がないということですから、それはゲームでは
なく、見るだけの「環境ソフト」になってしまいます。


 だからコスティキャンは、


「プレーヤーが、自分の運命を自分で決めていると感じる、
つまりゲームをプレイしていると実感するには、ゲームトークンが
不可欠なのである」



 と言うわけですね。


 さて最後にコスティキャンはゲームトークンにおいて、


「ゲームをデザインするときは、ゲームトークンの数を少なくすればするほど、
個々のゲームトークンを詳細化するように注意しなければならない。

各プレーヤーにたった1つしかトークンを与えないRPGにおいて、トークン
の機能が他に例を見ないほど細かく規定されるのは、決して偶然ではないので
ある」


 と言っています。

 これにはいくつか理由があると思うのですが、私はおそらく以下の意味で言っ
ているのではないかと思います。


▼ちょうどよく忙しくなる「管理するべき資源」の量

 プレイヤーが管理できる資源の量にはおのずと限界があり、それを超えない
よう、ゲームバランスを取らなくてはなりません。


 ゲームトークンの数が多くなれば、それだけ1つ1つに乗せる管理すべき「資
源」の量は少なくする必要があります。

 そうしないとプレイヤーが管理できる限界を超えてしまうからです。


 プレイヤーのストレスにならず、かつ適度な忙しさで「夢中になれる」
だけの管理すべき資源の量を図ることができれば、そのゲームは
いいゲームバランスを持っていると言えるでしょう。



▼ゲームトークンに対する「思い入れ」

 アクションゲームでは、キャラクタが持つアクションが多彩です。

 これは、操作するゲームトークンが1つだけなので、それだけプレイヤーが
そのトークンに集中できるようになるからですね。


 ゲームトークンに集中できるようになるということは、感情移入の度合いが
高まることに繋がります。



「プレーヤーが、自分の運命を自分で決めていると感じる」



ようになるわけです。


 では、ゲームトークンの数が多いRTSやSLGでは感情移入ができないの
か? というと、そうでもありません。


 そこは工夫のしどころです。


 例えば任天堂の「ファイアーエムブレム」は、個々のユニットにバックストー
リーやイベントを設けて、感情移入をさせることに成功しています。


 「織田信長」や「三国志」等のSLGは、部隊に「武将」というキャラクタ
の記号を乗せることで、感情移入させることに成功しています。


 コーエーの一連のSLGでは、武将が敗走して落ち延びたり、裏切ったりな
どの「人間くさい」行動を取るので、武将一人一人にさも感情があるように感
じますよね?


 単なる「戦力」としてユニットを認識させるのではなく、「過去」や
「感情」を持った人間がそこにいるのだ、という工夫をすることによって、
感情移入は促されます。



  →ゲームを分析するときには、「このゲームにおいて、プレーヤーに
   与えられるゲームトークンは何か。そのトークンの機能は何か。
   トークンが動かす資源は何か。それを面白くしている仕掛けは何か」
   という点を考えなければならない。

(続く)

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