■コスティキャンのゲーム論

●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:
ロールプレイ


 RPGは「ロールプレイング・ゲーム」の略ですね。

 「ロールプレイ」とは、「役割を演じる」ことを言います。


 要するに、RPGでは、与えられたキャラクタの役に「なりきって」ゲーム
をプレイするわけですね。

 ロールプレイでは、その「なりきる」ことが楽しい。


 例えば、ゲームとは違いますが、ブルースリーの映画をテレビでやっていた
翌日、学校にニセ・プルースリーが教室に3人くらいいませんでしたか?(笑)


 それから、北斗の拳のケンシロウの真似で「ほあたあ!!」とか「お前はも
う死んでいる」とか言って「ズブ!」と指を体に食い込ませてくる人はいませ
んでしたか?(笑)


 すごい人になると、生活自体にその「なりきり」を持ち込んで、人を呼ぶと
き指でクイクイとしてみたり、「きさまか!」とか「なれあいはせん!」とか、
マンガに出てくるようなセリフを常用するがいたりします(笑)。


 「なりきり」は、その人になった気がして、気持ちがいいんですねー。


 ここで注意したいのは、キャラクタに「感情移入」することと、キャラクタ
を「演じる」ことは違うということです。


 ゲーム内のキャラクタがどう考えるか考え、その通りに行動するのがロール
プレイです。


 コスティキャンはこう言います。


「ある意味では、感情移入はプレーヤーからキャラクターに向けた
動きであり、ロールプレイはキャラクターからプレーヤーに向けた動きと
言える。両者は方向が逆なのだ」



 だから、ひとり遊びのコンピュータゲームは、本質的にロールプレイをする
ことはありません。


 ゲーム画面を目の前にして、「役割を演じる」必要性がないからです(そん
なことをしてる人がいたら恐いですよね(笑))。


 じゃあロールプレイを促進することは、コンピュータゲームでは意味がない
のだから、使えないのか…テーブルトークRPGだけのものなのか…というと、
そうではないんです。


●ロールプレイの使いどころ

 ロールプレイは、MMORPG等のネットゲーム(特にファンタジー系)で
非常に大きく意味が出てくる方法論です。


 コスティキャンは、以下の3つをロールプレイの大きな効果として挙げてい
ます。

▼感情移入を強化する

 キャラクタと同じように考えようとすれば、自然とキャラクタに感情移入し
ます。


 例えば、これはごく原始的な例ですが、「善」と「悪」。


 キャラクタ作成のときに「善」と「悪」の属性設定ができるゲームはいくつ
もありますが、この設定ができるだけで、ゲーム内で「善人」を振舞ったり、
「悪人」を振舞ったり、プレイヤーの行動は変わってきます。


 特に「悪」を選んだとき、悪い振る舞いを意識的に行なう傾向は強いようで
す。

 悪のキャラクタならば、盗みをしたり、他人に切りかかって追い払ったりし
てもいいんだと、思うわけですね。
(悪はそういう存在という認識があるので)

 「悪」が悪を振舞うことで、行為とアイデンティティが一致し、感情移入が
促されるわけです。


▼ゲームの雰囲気を高める

 今あるネットゲームは、プレイ中、ゲーム世界と現実世界の壁はけっこう薄
いものです。「ゲームではこうだけど、リアル(現実)ではこうでさ…」みた
いな話がゲーム中にもよく話されます。

 しかしプレイ中、仲間同士で一生懸命かばいあったり、回復魔法をかけて助
け合ったりなどの役割を演じているとゲームに集中し「一緒に冒険しているん
だ。この世界の中で旅をしているんだ」という意識が高まり、ゲーム内での連
帯感が高まります。


 特にネットゲームはテーブルトークRPGのように相手のリアルの顔が見え
ないので、「自分のキャラクタを演じる」という行為が促されやすく、連帯感
もできやすいようです。


▼プレイヤー同士の交流を深める

 ロールプレイは一種の「芸」であり、それは他人がいるからこそできること
です。

 ネットゲーム内では、さまざまな特殊技能をキャラクタが持ちます。
 回復魔法、攻撃魔法、属性変化魔法、など。
 それらは「種族」というカテゴリで、得意不得意があったりします。


 そのキャラクタの技能の違いが、チームでの行動に役割分担を与え、チーム
ワークの気持ちよさを感じさせる原因になるわけです。


 そこで体験を共有した人たちは、おのずと交流が深まるというわけなんです
ね。


●本来的なロールプレイ

 実際のところ、コンピュータによるネットゲームでは、まだまだ本来的なロー
ルプレイ(役割を演じる)を促すところまではいっていません。


 「役割分担」によって、単純に世界の共有が行なわれているだけです。


 本来ならば、そのキャラクタに「なりきり」、しゃべる(打ち込む)言葉、
行動、考え方なども真似するのが、正しいロールプレイです。


 「演技なんて恥ずかしい」という壁を取り、もっと世界観にどっぷりと浸か
ることのできるゲームシステムを考えることができれば、ネットゲームはさら
に面白いものになるのではないかと思います。


  →ゲームを分析するときは、「このゲームで、プレーヤーにロールプレイ
   させるための仕掛けは何か。どのような演技が可能で、どのような演技
   を狙っているか」ということを考えなければならない。

(続く)

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