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■盛りあがりを計算しよう


 ゲームデザイン技法は「盛り上がり」を作るためのもの、と言っても過言ではありません。
 プレイヤーを喜ばせ、怒らせ、興奮させ、楽しませる。
 そういった盛り上がりを実現できれば、そのゲームは成功と言っていいでしょう。
 どんなエンタテインメントも、これは同じです。

 面白いと思わせるエンタテインメントは、非常に緻密な盛り上がりの計算が成されています。

 特に映画は「盛り上げる」技法に関して、非常に高いレベルに達しています。
 ハリウッド映画は始まって5分以内に必ず、インパクトのある展開を見せます。
 また、たいていのハリウッド映画は、その後30分ごとに、衝撃的な展開がおとずれるようになっています。
 「インディ・ジョーンズ」シリーズは「3分おきの興奮」などと謳い、「あっ!」と思わせる展開をごく短いスパンで連続させる、「ジェットコースタームービー」の先駆けとしてヒットしました。

 漫画も、有名な漫画家の話しだと「1ページに1つの興奮」「1ページに1つの笑い」を意識して描かれているそうです。

 ゲームも「1つのアクションに1つの興奮」を実現できれば成功です。

 ゲームは基本的に同じアクションの「ループ」で展開していきます。
 RPGなら話しかけることで展開していきます。
 シューティングゲームなら撃って避けるで先に進みます。
 SLGならコマンド入力の繰り返しでゲームが展開します。

 その「ループ」の中に、面白さを盛りこんでいけばいいことになります。

 顕著な例で言えば、任天堂のゲームはその計算が比較的明確に現われています。

 「メトロイド」で、主人公は最初なんの能力も持たずにスタートします。
 この状態でも敵を倒すことができるし、いろいろなところに移動できます。
 このループでもある程度楽しいのですが、倒せない敵がいる、行けないところがある、というフラストレーションがあります。

 進むにつれ、アイテム取得によって主人公の能力が増えていきます。
 すると倒せなかった敵が倒せるようになり、行けなかったところが行けるようになります。
 能力を得ると「新たなアクションを楽しめるループ」が発生するのです。
 アイテムを取るごとにこれが繰り返されますから、プレイヤーは飽きずにどんどんと先へ進むことになります。
 能力がプラスされるアイテムが伏線となり、「ループ」を新たなアクションの楽しさで一新し続ける構造が、プレイヤーを引っ張っているのです。

 それではいかに「ループ」に楽しさを盛りこむか。
 以下にいくつかベースとなる考え方を挙げてみます。

・ループ中のアクションが勝敗を決定する要素になる構造

 1vs1など、同条件で勝敗を賭けたアクションを繰り返すことは、ゲームをエキサイティングなものにする大きな要素です。
 勝負が拮抗すればするほど盛り上がります。
 システムがループ内に興奮を発生させればさせるほど、いい構造になります。

・ループ中のアクションが別のものに更新されていく構造

 先に挙げた「メトロイド」がそうです。
 ほか、「ゼルダ」の草刈り、爆弾、「スーパーマリオ」のファイアマリオなど、ゲーム中に面白さがスイッチする類のものをいいます。
 GC版のFPS「メトロイド」では、バイザーを交換することで視覚がスイッチされ、プレイ状況が変わるという斬新なものでした。

・ループ中での入力が、配置された面白さを呼び出す構造

 RPGやアクションゲームなどがこれです。
 敵など、トークンの配置バリエーションを用意することで、面白さを維持します。
 RPGは、ゲーム内に配置されたイベントを「話す」アクションで呼び出します。
 イベントの配置数は量の問題になるので、作れる数に限界があります。
 アクションゲームは、敵キャラクタをいかに配置していくかで面白さが変わります。
 SLGは、マップの地形効果と拠点の配置で、面白さが変わります。


 これらの構造で、ループ内の面白さを連続させれば、面白さは維持されます。
 このような構造が、最後まで面白いゲームを作るのに必要です。


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