■面白いゲームの3要素
今回の特集は、面白いゲームを作るための基本要素を考えていきたいと思います。
●1・ゲーム・メディアとしての3要素
まずは巨視的なところから考えてみましょう。
ゲームをメディアという大きなくくりで見るなら、
1・音
2・映像
3・インタラクティヴ
この3つの組み合わせを楽しむ媒体です。
これを前提に、より面白いゲームを作り出すにはどうしたらよいでしょうか。
それぞれの質を上げていけばゲームは面白くなるでしょうか?
すぐに「その通りだ!」とは言えませんね。
確かに最新の音と映像はインパクトがあります。が、それが「面白い!」という感覚にダイレクトに繋がるかというと、そうではないですね。
最新の音と映像は、「面白い!」というよりは「スゲエ!」という感覚を多く与えてくれるものです。瞬間的なインパクトです。
音と映像は、より現実に近づくことにより、虚構であるものが、まるで現実であるかのような錯覚を感じさせ、インパクトをもたらします。
音と映像の集大成はムービーですが、これを何度も見るのは、そのムービーで語られる物語が面白かった場合です。インパクトは重要ですが、結局最後に繰り返し見られる原因になるのは、そのムービーで語られる物語が人の心を動かした場合です。
「じゃあ、インタラクティヴの質を上げれば、ゲームは面白くなるんだ!」
この意見はなかなか核心をついているような気がしますね。
しかし、インタラクティヴの質を上げるとはどういうことか?
いまいち明確ではないですね。
インタラクティヴとは双方向性ということです。
相互に情報をやりとりすることを指します。
例えば電話のように、情報を受け取るだけでなく、自分で情報を送信することができるということです。
また、スイッチを入れると電灯がついたりなど、なんらかのアクション・反応が返ってくること、これも双方向性です。送ったものと同じものが返ってこなくてもいいのです。なんらかの反応があること。これも双方向性です。
双方向テレビというものがありますが、これはリモコンで閲覧したい情報を選ぶことができるものです。閲覧できる情報はさまざまなものがあり、たとえば番組表を見ることができたり、見たい俳優が出る番組を検索したり、株価をチェックできたり。
インタラクティヴの質が上がるとは、こうした選択できる情報の密度が上がっていくことと言えるでしょう。
さてなんとなくわかってきましたね。
しかし、これが面白さとなにか関係あるのか!?
「インタラクティヴの質とは情報の密度。だがそれが上がれば面白いのか?」
「単に情報量が増えただけじゃないか…?」
「音と映像とインタラクティヴ。これらは確かにゲームの基礎的な要素ではあるけれども、どうも面白さとはあまり結びついていないんじゃないか??」
その通りです。これらの3つの要素は単にゲームマシンの「器(うつわ)」を構成する要素でしかありません。インタラクティヴという要素も、単に相互にやりとりする、という意味以上のものはありません。
この3つの点はゲーム・メディアの特性を表しはするけれど、「面白さ」という点では「じゃあその器を使ってなにをするか」というところから始まらざるを得ないので、あまりに論点が遠すぎてしまいます。
ここで考えたいのはいかにして面白いゲームを作るかということですから、もっと突っ込んだ視点から考え始めなければならないでしょう。
ここでは「その器を使ってなにをするか」という問いに対して「ユーザー(プレイヤー)が面白さを感じることをする」という回答を与え、進んでいきます。
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