●2・面白さとは何か?

 では面白さという視点から、ゲームを考えてみましょう。

 ゲームという器は「音と映像とインタラクティヴ」の組み合わせを詰められるものでした。

 「組み合わせ」という言葉からは、例えばスイッチを入れると音と映像が出る…こういう単純な組み合わせをまず想像しますね。
 そしてそのスイッチがパッドになり、4つのボタンになり…組み合わせはにわかに複雑になっていきます。そしてゲームは複雑な「組み合わせ」、つまり「構造」を持つようになります。

 では、この音と映像とインタラクティヴを制御する「構造」は、なにを目的とした構造なのでしょうか?
 もちろん、それは「面白さ」を目的とした構造です。
 では面白さとは?
 面白さとはいったいなんでしょうか?

 この核心に迫らない限り、「なんとなく面白い」ものを作り続けることになってしまいます。
 明確に「面白さ」とはどういうことを言うのかが分からなければ、偶然でもない限り、とうてい面白いものを作ることはできないでしょう。

 明確にすること。これは力です。

▼ゲームは人の感情を動かすのが仕事

 さて、人は理性と感情を持っていますが、どちらが人に強い影響を与えるかというと…もちろん感情の方ですね。

 人は、感情を変えたいがために行動を起こします(実はこれは師匠からの受け売りですが…)。

 例えば、人はなぜスーパーに行くかというと、「おなかがすいた」という感情を変えたいためです。
 なぜ遊園地に行くかというと、自分の感情を「楽しい気分」に変えたいためです。
 なぜスポーツをするかというと、激しく運動して自分の感情を「すっきり」させたいためです。

 また、人には普段は抑圧されている感情を開放したいという欲求があります。
 それは喜びの感情だけでなく、その後にカタルシス(浄化)があれば、恐怖の感情でも、怒りの感情でもいいのです。
 人が大勢いるライブなどで「ワアーーーー!」と大声を出せばすっきりする!!
 オバケ屋敷で慎重に進んでいたら、予期しないところからオバケが出てきて「さぶいぼ」が立って心臓が飛び出るほどドキドキする!!

 感情を爆発的に起こしてくれるものを人は求めています。

 さてもう何を言いたいか分かったと思いますが…。
 「面白さ」とは「感情を動かされる」こと!

 興奮させる!!
 感動させる!!
 緊張させる!!
 恐怖させる!!


 まだまだ、感情を表す言葉はあります。

 悔しがらせる!!
 怒らせる!!
 あわてさせる!!
 焦らせる!!
 驚かせる!!
 欲しくてたまらなくさせる!!


 あなたはゲームを作ることで、どんな感情をプレイヤーに与えたいか?

 「どんな感情を、どうやって動かすか!?」

 ここがゲーム作りの重要なところです。

 「どんな感情を、どうやって動かすか!?」

 その仕組みを考えるのが、ゲームデザイナーの大命題と言えます。

 この命題を据えない限り、ゲームは「なんとなく」なものになります。

 命題を据え、それに向かい、結果的にプレイヤーの爆発的な感情の変化を実現すれば、ゲームは確実に面白くなります。

 ゲームは人の感情を爆発させてナンボ!! です。

 では、どうすれば人の感情を動かせるのでしょうか?
 どんな仕組みを作れば、人は感情を揺さぶられるのでしょうか!?

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